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プレスリリース・最新情報

島津Model-4 の新発売について                2025年4月8日

薩摩島津販売総代理店
代表プロデューサー 
栗山 馨      
1.【はじめに、新製品の発表、お詫び】2021 年 4 月発売の 6 センチ口径ユニットの Model-1、 2023 年 6 月発売の 10 センチ口径ユニットの Model-3 に続いて、 フルレンジシステムの限界への挑戦と将来のマルチウェイ方式への準備として、更なる10センチ口径ユニットの改良を続けておりました。一度は、昨年 2024 年の 4 月というアナウンスもしましたが、ユニットの開発作業は遅れに遅れました。 ようやく今回、 10 センチ振動板の限界にまで達したという成果を実現することになりました。 このことについては、辛抱強くお待ちいただき、温かい声援をいただいた方々に感謝とともに深くお詫びしなければなりません。

2.【当初の改良のコンセプト】この新型10 センチユニットは、元々は、 10 センチ振動板を究極のフルレンジスピーカーとしての Model-4 として製品化を考えておりました。 10 センチ振動板の限界まで行きつく広い帯域とフルレンジによる定位の良さ、ネットワークを介さないことによる音の鮮度の高さ、これが当初の Model-4 のコンセプトでした。 また既に、 Model-3 をお持ちの方にはユニットの交換も視野に入れておりました。

3.【改良の方向の変更】ところが、 10 センチの限界でどうしても出ない帯域部分をどうするかでひとつの壁にぶつかりました。 その帯域の音を諦めることで、全体のバランスから音作りをする方向を考えるか、 もうひとつはトゥイターを加えて原音に近づける方向を考えるかという選択肢です。

4.【オーディオのありかたのひとつの考え】このことは、島津スピーカーというものの根本問題に触れることでもあるので、この機会にお話しすることも無駄ではないと思います。言うまでも なく 、本来のオーディオの楽しみであり目的は音楽を楽しむことであり、そのために、いわゆる「いい音」を求めることです。ところが、この「いい音」というのには色々な考えもあるようです。 ひとつ は、オーディオの音がイコール原音になることが無い時に、原音そのものの音にならなくても、原音らしく聴こえれば よいとして心地よい部分を強調して好みの音を創り上げる行き方です。かつてのヴィンテージの名器が奏でる個性的な 美音の世です。 自分のリスニングルームで、自分の好みの音で音楽に浸るのも、これはこれで至福の時間を得ることができるでしょう。

5.【島津スピーカーの本来の方向】もうひとつの行き方は、音楽を楽しむには、心地よいいい音を求めるだけでなく、生のコンサートのような実在感が欠かせないと考え 、ただ好みのいい音だ けではなく、生のコンサートで感じる躍動感や実在感のある生きた音を求める方向です。 本来の島津スピーカーの求める音は、この後者の立場であるということです。 このことを前提に考えると、この 10 センチユニットが出し切れない高域の部分が自然界の実在の音にとってどうであるかが、今後のマルチウェイの方向を考えても大きな課題となったのです。 そこで慎重に検討と実験を繰り返しました。

6.【新製品 Model-4 の方向】結論から申すと、新DSS 振動板による歪のほとんど無い広い帯域のミッドレンジに、トゥイター高音を限定的に補うことによるシステムの生々しい音を聴いて、これは私たちの求めている音であることを認めざるを得ませんでした。ただ、まだまだ課題もありました。フルレンジスピーカーの良さを失うことになるのではないか。ただ、これも、将来のマルチウェイの方向を考えると克服しなければなりません。

7.【Model-4 にトゥイターを加える課題の克服】これから、先は2ウェイとしての Model-4 への解決の過程です。まず、トゥイターとしての音色の統一感ですが、これは、DSS振動板と同じコンセプトで作られるトゥイターにはこの問題は無縁でした。しかも、ミッドレンジがかなり高い音域をカバーしている、言い換えれば、ミッドレンジが出せない 音域だけをトゥイターに任せることで、本来の トゥイターの役割だけを見事に発揮してくれました。また、ミッドレンジが本来出せない音域だ けを受け持ってもらう関係から、音の鮮度や位相に大きな影響のあるネットワークを必要としないということも分かりました。この結果、 個々の音が実在感をもち生き生きとしてクリアーでしかも柔らかいという従来のスピーカ ーでは相反すると思われる要素が両立するという結果をもたらしたのです。

8.【従来のフラットと違う動的フラット】これらの話で、従来、帯域が伸びると中抜けがして、音が細くなり弱々しくなり、音楽に躍動感がなくなるという現象とは無縁であることがご理解いただけたと思います。旧来、オーディオ界で言われていた原音に忠実、フラットな音というのは、いわゆる静的フラットでデータのみのことであり、動的な真のフラットというもの が大事であること、このことにより 原音にかなり近づいたことを実感いたしました 。もちろん、家庭のリスニングルームの限られた空間 でいかにも生っぽく、しかも心地よく音楽 が聴ける ように、 これらが コンパクトなスピーカーに収まるような 最後の仕上げをしております 。

9.【従来のスピーカー振動板から新たなステップアップ】今回の Model-4 の開発で、 6 センチ ユニットと 10 センチユニットの開発はひとつのステップを越えました。この Model-4 の開発過程で得たノウハウを 6 セン チ 口径の Model-1にも応用して微調整版として MARK2 とすることも予定しております。これまで、スピーカーの百年の歴史のなかで真正面から解決がなされていなかった振動板の撓み現象である分割振動、そして分割振動を抑えると高域が伸びないという二律背反に どうにか結論をだすことがでました。これは、振動板の材質を固くすればいいというような単純なものではなく、また地球上にはこのような材質も無いという現実から構造と材質という 二つの面がから追い込むという気の遠くなるような過程がありました。

10.【これからの薩摩島津の方向とオーディオ界に対する願い】今回のModel-4 で 2 ウェイの方向が見えました。 2つのユニット以外に、トゥイターとウーファーの準備もできました。これから先は、キャビネットの構造と 内容積などの物理的な面で、より大きな音や空間という方向 があります。 これには、 3 ウェイの Model-5 も予定しております。改訂版の Model-1と合わせて、島津スピーカーの当面のラインアップができる予定です。引き続き、研究開発は続けますが、少しでも多くの方に、音楽を聴くスピーカーとして島津スピーカーに賛同していただければと思います。音感は基本的な人間の感性で人間の尊厳に関わる部分です。 ところ が現在の世界において 、 スマートフォンの音源ユニットに至るまで中国が握っています。 国産で唯一のユニットメーカーである薩摩島津のように、地球の様々な地域で独自のお国訛りのあるスピーカーが生まれることを私どもは願っています。

 島津Model-4 を含む新製品については、順次、薩摩島津 のホームページに上げてまいりますので、ご参照いただければ幸いです。


※ 写真は 島津Model-4 完成予想CG



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株式会社 薩摩島津